PTSDとはどのような状態か
公開日: 最終更新日:2026.08.11
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とはどのような状態か?
「思い出したくない過去の体験が急に頭の中に蘇って息苦しくなる」「理由もない恐怖感や警戒心が消えず、心が安まる時間がない」「周囲から『いつまで引きずっているの』と言われ、自分を責めてしまう」——このようなつらさを一人で抱え込んでいませんか?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、命の危険を感じるような出来事や強いショックを伴う体験(事故、事件、深刻なハラスメント、災害、暴力など)を受けたあとに、脳や自律神経が強烈なストレスに反応して生じる心の疾患です。決してあなたの「心が弱いから」「根性が足りないから」ではありません。
PTSDで見られる代表的な「4つの症状」
PTSDでは、強いトラウマ体験によって脳の警戒システムが「緊急事態のまま」固定されてしまい、以下のような4つの特徴的な症状が現れます。
| 症状のタイプ | 主な特徴と具体的な状態 |
|---|---|
| ① 再体験(フラッシュバック) | 自分の意思とは関係なく、当時の記憶や恐怖感、映像が突然鮮明に甦る。うなされるような悪夢を見る。 |
| ② 回避・麻痺 | 出来事を思い出す場所、人、話題、ニュースを徹底的に避ける。感情が湧かなくなり、感覚が麻痺したように感じる。 |
| ③ 過警戒(交感神経の興奮) | 常に気が張っていてイライラする。小さな音や光に過剰にビクッとする。夜眠れない(不眠)、集中できない。 |
| ④ 認知・気分の負の変化 | 「自分はダメだ」「世界は危険だ」と否定的な考えが強まる。強い罪悪感や孤独感、激しい気分の落ち込みが続く。 |
受診の前に準備しておくと良いこと
診察室で「つらい体験のすべてを詳しく打ち明けなければいけない」と不安になる必要はありません。無理に当時の出来事を話すことがかえって負担になる場合もあるため、受診の際は以下のポイントをメモ等で無理のない範囲でお伝えいただければ十分です。
- 一番困っている現在の心身の症状(フラッシュバック、強い不安、眠れないなど)
- その症状がいつ頃から続いているか(出来事の直後から、数ヶ月経ってからなど)
- 日常生活や仕事、対人関係にどのような支障が出ているか
- 現在服用中のお薬や他科での受診歴(お薬手帳をご持参ください)
当院でのPTSD・トラウマケアへのアプローチ
当院では、つらい記憶や傷ついたお気持ちを抱え、恐怖や不安に耐えてこられた患者様の「安全な居場所」となれるような診療を大切にしています。無理につらい出来事を話していただく必要はありません。今出ている心身の不調をやわらげ、安心して休める状態を一番に考えて主治医としてサポートいたします。
- 身体疾患を見逃さない多角的な鑑別: 丁寧な問診に加え、必要に応じて血液検査(甲状腺機能・貧血・隠れ鉄欠乏フェリチン・栄養状態等)や心理検査を行い、身体的な不調やうつ病・適応障害などの併発を多面的に見極めます。
- 体と心に優しい適切な治療提案: 興奮状態にある自律神経や不眠・強い不安を落ち着かせるお薬や漢方薬の調整、安心感を取り戻すメンタルケアを組み合わせ、心が安全を感じられる状態を整えます。
- 主治医としての休職・復職・環境調整サポート: 心身の消耗が激しく日常や仕事の継続が困難な場合は、即日の休職診断書発行や傷病手当金の手続きを行い、復職時にも会社・産業医へ向けた具体的で実用的な環境調整意見書を発行いたします。
「時間が解決してくれるはず」と一人で耐え続ける必要はありません。安心できる日常を少しずつ取り戻せるようお手伝いいたしますので、どうぞ気軽にご相談ください。