うつ病と食欲・体重変化の関係
公開日: 最終更新日:2026.08.11
なぜ「うつ病」になると食欲や体重が激しく変化するのか?
「ご飯の味が全くせず、喉を通らない」「食べようとすると吐き気がする」「逆に抑えきれない過食で一気に体重が増えてしまった」——このような食事や体重に関する悩みを一人で抱え込んでいませんか?
食欲が減退して激やせしたり、反対に甘いものや炭水化物を過剰に欲して激増したりするのは、決してあなたの「意志が弱いから」「自己管理ができていないから」ではありません。過度なストレスやうつ病によって、脳の食欲をコントロールする自律神経や神経伝達物質(セロトニン等)のバランスが崩れている大切なSOSサインです。適切な医療サポートや体調ケアによって改善を目指すことができます。
うつ病に伴う「食欲・体重変化」の2つのパターン
うつ病における食欲障害には、大きく分けて「食欲低下タイプ(典型うつ)」と「過食タイプ(非定型うつ)」の2パターンが存在します。
| タイプ | 主な特徴と身体の不調 |
|---|---|
| ① 食欲低下・体重減少タイプ (典型的うつ病) |
・「何を食べても砂を噛んでいるよう」「味を感じない」状態になる。 ・一口食べただけで吐き気や胃の膨満感があり、喉を通らない。 ・数ヶ月で数キロ(服がぶかぶかになるほど)体重が落ち、体力が奪われる。 |
| ② 食欲過剰・体重増加タイプ (非定型うつ病) |
・ストレスや不安をかき消すように、甘いものや炭水化物を無性にドカ食いしてしまう。 ・食べ終わった後に激しい後悔や自己嫌悪、罪悪感に苛まれる。 ・日中に強い眠気や身体の重さ(泥のように体が重い)を伴いやすい。 |
受診の前に準備しておくと良いこと
「食欲くらいで受診してもいいのかな」と躊躇する必要はありません。受診の際は、以下のポイントを簡単にメモしてお持ちいただくと診察がスムーズです。
- ここ最近の食欲の状態(喉を通らない、味がしない、ドカ食いしてしまう等)
- 数ヶ月間での体重の変化(何キロ増減したか)
- 食事面以外で出ている心身の不調(眠れない・過眠、強い倦怠感、落ち込みなど)
- 現在服用中のお薬や他科での受診歴(お薬手帳をご持参ください)
当院での「食欲・体重変化」への診療アプローチ
当院では、これまで食生活の乱れや体重変化に悩み、ご自身を責めてこられた患者様のお気持ちにどこまでも寄り添い、安心して心を開いていただける診療を心がけています。「わがまま」「自己管理不足」などと片付けず、お体と心の両面から主治医としてサポートいたします。
- 身体疾患を見逃さない多角的な鑑別: 丁寧な問診に加え、必要に応じて血液検査(甲状腺機能・貧血・隠れ鉄欠乏フェリチン・栄養状態等)や心理検査を行い、食欲不振や劇的な体重変化の背景に甲状腺疾患や糖尿病、栄養障害などの身体的な要因が隠れていないかを多角的に鑑別します。
- 体と心に優しい適切な治療提案: 食欲や睡眠のリズムを正常に整える安全性の高いお薬や、自律神経や胃腸の働きを助ける漢方薬の調整、栄養面への無理のないアドバイスを組み合わせ、身体のエネルギー回復を目指します。
- 主治医としての休職・復職・環境調整サポート: 体力低下や強い抑うつにより勤務の継続が著しく困難な場合は、即日の休職診断書発行や傷病手当金の手続きを行い、復職時にも会社・産業医へ向けた具体的で実用的な環境調整意見書を発行してトータルサポートいたします。
「食べられない」「食べ過ぎてしまう」という不調は、心と身体が限界を迎えているシグナルです。一人で抱え込まず、どうぞ気軽にご相談ください。