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こんなお悩みはありませんか?

  • 急に「見張られている」「盗聴されている」ようになった
  • それを言っても、家族や友人は聞こえないという
  • 大きなストレスやショッキングな出来事(事故、別離、失業、破産など)のあとから
  • 普段とは別人のようだと言われる
  • これが一時的なものなのか、長く続くのか判断がつかず不安
  • 症状が「統合失調症」そっくりで心配だが、どう違うのかよく分からない
  • 自分では、病気だと思わないが、家の人や知り合いから「医者に行った方がいい」と何度も勧められる
  • どのタイミングで、どこを受診すればよいのかわからない
  • 何を優先して行動すればよいのか分からず、対応に悩んでいる
  • 再発しないか、また同じことが起きないか不安だ

短期精神病性障害とは?

昔から、しばしば遭遇する状態です。疾患と言うより、状態と言った方がいい位、短期間で改善してしまうものです。

急性期は、激しい精神病状態なのですが、治療に対する反応が極めてよく、初期対応がよければ2,3日で憑き物が落ちたようによくなってしまいます。ストレスが多い現代社会、親子であっても対話が少ない時代。親より、SNSで相談、ひいてはAIに相談する人が圧倒的に多いと思います。その一方、「無理しない」、「頑張り過ぎない」とゆとり教育を受け、ストレス耐性が低い現代人の発症リスクは、かなり高いと思います。

短期精神病性障害とは?

短期精神病性障害(英語表記:Brief Psychotic Disorder)とは、妄想、幻覚、まとまりのない発語、ひどく解体した行動または緊張病性の行動といった「精神病症状」が、比較的急激に出現し、短期間のうちに消失する精神疾患の一つです。精神医学の診断分類(DSM-5など)において、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害というグループに位置づけられています。

  • 精神病症状とは、現実検討力(現実と非現実を区別する力)が損なわれた状態で現れる症状の総称であり、本人が体験している内容が、周囲から見ると事実とは異なっていることが特徴
  • 発症は突然であることが多く、数時間から数日という短い期間のうちに、明らかな精神状態の変化が生じる
  • 症状の持続期間が短いことが最大の特徴であり、目安として1日以上1か月未満とされ、多くの場合は完全に元の状態(病前の機能水準)まで回復する
  • 統合失調症や統合失調感情障害など、より長期にわたって経過する疾患とは、症状の持続期間という点で診断基準上明確に区別される
  • 発症のきっかけとして、強いストレスやライフイベントが関与するケースがある一方、明確な誘因が見当たらないまま発症するケースも報告されている
  • 出産後の一定期間(産褥期)に発症するタイプがあることも知られており、母子双方の安全に関わる重要な状態として位置づけられている

診断上の主な特徴

医学的な診断基準では、おおむね以下のような特徴が示されています。

  • 妄想、幻覚、まとまりのない会話(解体した会話)、ひどく解体または緊張病性の行動のうち、少なくとも1つの症状が存在すること
  • 症状の持続期間が1日以上1か月未満であり、最終的には病前の機能レベルまで完全に回復すること
  • その症状が、うつ病や双極性障害などの気分障害、統合失調症、統合失調感情障害では説明できないこと
  • 症状が、薬物やアルコールなどの物質の直接的な生理学的作用、あるいは他の医学的疾患によるものではないこと

これらの基準はいずれも専門的な評価を要するため、自己判断で診断名を当てはめることは避け、精神科などの専門医療機関に相談することが推奨されます。

短期精神病性障害の主な症状

精神病症状にはいくつかの種類があり、現れ方や組み合わせには個人差があります。ここでは代表的な症状を整理します。

陽性症状(通常はないはずの体験・行動が現れる)

  • 妄想:明らかに誤った確信を強く持ち続ける状態。「監視されている」「盗聴・盗撮されている」「危害を加えられようとしている」「自分には特別な使命や能力がある」といった内容が代表的
  • 幻覚:実際には存在しない声や物音が聞こえる(幻聴)、いないはずの人や物が見える(幻視)、実際にはない匂いや味を感じるなど、五感にわたって生じうる
  • まとまりのない会話(解体した会話):話の脈絡が急に飛ぶ、質問に対してまったく噛み合わない返答をする、単語同士のつながりが不自然になるなど
  • ひどく解体した行動、または緊張病性の行動:目的の見えない行動を繰り返す、状況にそぐわない奇妙な行動をとる、不自然な姿勢を長時間保ち続ける、逆に外部からの刺激にほとんど反応しなくなるなど

陰性症状・その他伴いやすい状態

精神病症状そのものに加えて、以下のような状態を伴うことも少なくありません。

  • 強い不安感、恐怖感、緊張感
  • 感情の平板化(表情や感情表現が乏しくなる)や、逆に情緒不安定で気分が急激に変動する
  • 混乱した状態、時間・場所・人物に関する見当識のあいまいさ
  • 睡眠リズムの著しい乱れ(不眠や過眠)
  • 食欲の変化
  • 普段の人柄や言動から大きく逸脱し、周囲が「別人のようだ」と感じるほどの変化
  • 対人関係や仕事・学業などの社会生活上の機能が一時的に大きく低下する

症状の現れ方の特徴

  • 発症が急激であることが多く、数時間から数日のうちに明らかな変化が現れる場合がある
  • 症状の重さ・種類・持続期間には個人差が大きく、軽度で短時間のうちに軽快するケースもあれば、入院治療を要するほど重篤化するケースもある
  • 本人に病識がなく、自分の状態を異常だと認識していないことが少なくないため、周囲が異変に気づいて医療機関へつなぐ役割を担うことが多い
  • 回復期に入ると、自分が体験していたことを振り返り、強い戸惑いや不安、恥ずかしさを感じることもある

短期精神病性障害の原因

現時点では、単一の原因が明確に特定されているわけではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

関連が指摘される要因

  • 強いストレス・心理的トラウマ:大切な人との死別、重大な事故や災害の経験、離婚、失業、人間関係の破綻など、大きな心理的負荷がかかる出来事が引き金になるケース(誘因のある型)
  • 出産:出産後、多くは数週間以内に発症するタイプが報告されており、ホルモンバランスの急激な変化や、心身への大きな負荷が関与すると考えられている
  • 睡眠不足や極度の疲労:長期間にわたる睡眠不足、心身の消耗、過度なストレス状態の蓄積が発症の引き金となる場合がある
  • 遺伝的・生物学的要因:家族に統合失調症や気分障害などの精神疾患の既往がある場合、リスクがやや高まる可能性があるとする指摘がある
  • パーソナリティ特性:もともとのストレス耐性や、特定のパーソナリティ傾向(例:境界性パーソナリティ傾向など)が、発症のしやすさに関わる可能性が指摘されている
  • 薬物・アルコールの影響が除外された上での発症:診断上、物質による症状は除外されるが、過去の薬物使用歴がある場合には、より慎重な鑑別が必要とされる

注意したい点

  • 明確な誘因がないまま発症するケース(誘因のない型)もあり、「ストレスの心当たりがないから発症しない」とは限らない
  • 原因を一つに断定することは難しく、生物学的要因・心理的要因・環境的要因が重なり合って発症すると考えるのが一般的
  • 家族や周囲が「何が悪かったのか」と原因探しに固執しすぎることは、本人・家族双方の負担を増やしかねないため、まずは適切な治療につなげることが優先される

短期精神病性障害の病型(サブタイプ)

診断基準では、発症のきっかけの有無や時期によって、いくつかの病型(特定用語)が区別されることがあります。

  • 顕著なストレス因を伴うもの(誘因のある型):発症の直前に、単独または重なった状態で、その人と同じような文化的背景を持つ人にとって著しいストレスとなるような出来事が生じている場合
  • 顕著なストレス因を伴わないもの(誘因のない型):発症の直前に、そのような明確なストレス因が認められない場合
  • 産後発症のもの:妊娠中、または出産後おおむね4週間以内に発症する場合。ホルモン変動や睡眠不足、育児への急激な適応など、複数の要因が重なりやすい時期であることが特徴とされる

病型が異なっても、症状そのものの評価や、安全確保を優先するという治療の基本方針は大きく変わりません。ただし、産後発症のケースでは、母親自身の安全に加え、育児や乳児の安全確保という観点も治療計画に組み込まれることが多く、産科・小児科・精神科が連携して対応する体制が重要とされています。

短期精神病性障害の経過と予後

  • 多くの場合、症状は数日から数週間のうちにピークを迎え、その後急速に、あるいは徐々に軽快していく経過をたどるとされる
  • 診断基準上、1か月以内に病前の機能水準まで完全に回復することが前提とされているが、実際の臨床経過には個人差があり、回復までの体感的な期間や、社会生活への復帰にかかる時間は人によって異なる
  • 一部のケースでは、症状消失後もしばらくの間、軽度の不安感や、体験した症状への戸惑いが残ることがある
  • 予後を左右しうる要因として、発症前の社会的機能の高さ、明確な誘因の有無、治療開始までの期間の短さ、周囲のサポート体制などが指摘されることがある
  • 再発なく経過するケースがある一方、統合失調症様障害や統合失調症、気分障害などへ診断が見直されるケースもあるため、症状消失後も一定期間は経過観察を続けることが望ましいとされる

日常生活で気をつけたいこと・再発予防の視点

症状が落ち着いたあとの生活面での配慮も、再発予防や安定した回復のために重要とされています。

  • 睡眠リズムを整える:不規則な睡眠は心身の負担を高めやすいため、規則正しい生活リズムを保つことが基本とされる
  • ストレスを一人で抱え込まない:大きな負荷がかかる出来事があった際は、家族や信頼できる人、専門家に早めに相談する習慣を持つ
  • 無理のない範囲での社会復帰:仕事や学業への復帰は、主治医と相談しながら段階的に進め、急激な負荷をかけすぎないようにする
  • 服薬や通院の自己中断を避ける:症状が改善したように感じても、自己判断で通院や服薬を中断せず、必ず主治医の指示に従う
  • 体調や気分の変化を記録する:睡眠、気分、ストレス状況などを簡単に記録しておくと、再発の兆候に早めに気づく助けになる場合がある
  • 周囲への理解を求める:家族や職場など身近な人に、必要な範囲で状況を共有し、無理をしすぎない環境づくりを心がける

短期精神病性障害と統合失調症スペクトラムの位置づけ

  • 精神医学の診断分類では、短期精神病性障害は「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害」という大きなグループの中に位置づけられている
  • このグループには、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、緊張病などが含まれ、いずれも精神病症状を中核とする点で共通している
  • グループ内での位置づけの違いは、主に症状の持続期間と、経過のパターンによって整理されている
  • 短期精神病性障害は、このスペクトラムの中でも最も症状の持続期間が短く、予後が比較的良好とされる位置づけにあるが、これはあくまで診断分類上の整理であり、個々のケースの重症度や本人・家族の負担の大きさを軽視するものではない

短期精神病性障害と間違えられやすい状態

似たような症状を示すことがあるため、専門的な鑑別が必要となる状態もあります。

  • せん妄:身体疾患や薬物、脱水、感染症などが原因で急激に生じる意識障害の一種で、幻覚や混乱を伴うことがあるが、原因となる身体的要因への対応が治療の中心となる点で異なる
  • 解離性障害:強いストレスの影響で、記憶や意識、自己同一性の感覚が一時的に途切れる状態。精神病症状とは異なる機序で生じるとされる
  • パニック発作に伴う強い不安・現実感の喪失:一時的に現実感が薄れることがあるが、妄想や幻覚を伴う精神病症状とは区別される
  • てんかん発作後のもうろう状態:発作後に一時的に混乱した言動が見られることがあり、身体的な原因の除外が重要となる

これらはいずれも専門的な検査や評価によって区別されるため、症状が見られた場合は自己判断をせず、医療機関での評価を受けることが大切です。

短期精神病性障害と似た疾患との違い

精神病症状を伴う疾患はいくつか存在し、症状の持続期間や経過のパターンによって区別されます。自己判断は難しいため、あくまで目安として捉えてください。

疾患名 症状の持続期間の目安 主な特徴
短期精神病性障害 1日以上1か月未満 完全に病前の機能水準へ回復するとされる
統合失調症様障害 1か月以上6か月未満 短期精神病性障害より長く症状が続く
統合失調症 6か月以上 症状が長期にわたり持続・再発しやすい
統合失調感情障害 長期にわたる 精神病症状と気分症状(うつ・躁)が同時期に併存する
妄想性障害 1か月以上(妄想が主体) 妄想以外の機能は比較的保たれることが多い
産褥期精神病(産後精神病) 出産後に急激に発症 短期精神病性障害の一形態として分類されることがある
  • 自己判断で病名を特定することは難しく、正確な診断には専門医による評価と、一定期間の経過観察が必要
  • 症状が1か月を超えて続く場合は、統合失調症様障害など、他の診断への見直しが検討されることがある
  • うつ病や双極性障害の一部でも精神病症状を伴うことがあり、気分症状の有無や順序も鑑別のポイントとなる

短期精神病性障害の診断方法

診断は、精神科医などの専門医による丁寧な問診・診察を通じて、総合的に行われます。

診断の主な流れ

  • 問診:症状が始まった時期、具体的な内容、持続期間、生活歴、家族歴、直近のストレス要因(出産や大きなライフイベントの有無など)を詳しく確認する
  • 精神状態の評価:現在の思考内容、知覚(幻覚の有無)、会話のまとまり、行動、感情表現などを観察・評価する
  • 身体的な原因の除外:血液検査、画像検査(頭部MRIやCTなど)により、脳腫瘍や脳炎、内分泌疾患といった身体疾患が症状の原因でないかを確認する
  • 物質誘発性の除外:薬物、アルコール、一部の処方薬などの影響による症状でないかを問診や検査を通じて確認する
  • 他の精神疾患との鑑別:統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、気分障害、パーソナリティ障害など、類似した症状を示しうる疾患との区別を行う
  • 経過観察:症状の持続期間や回復の状態を一定期間見ていくことで、最終的な診断が確定することもある

診断に時間がかかる理由

  • 発症直後の段階では、統合失調症様障害や統合失調症の初期像との鑑別が難しいことがある
  • 「1か月未満で完全に病前の機能水準まで回復する」という基準を満たすかどうかは、経過を実際に見なければ判断できない
  • そのため、初診時点では「精神病性障害の疑い」「病型未特定の精神病性障害」といった暫定的な診断名にとどまることも少なくない
  • 症状が改善したあとも、再発の有無や機能の回復状況を確認するための経過観察が続けられることが多い

短期精神病性障害の治療法

治療は、症状の重さ、本人の安全確保の必要性、家族の状況などに応じて個別に組み立てられます。以下は一般的な治療の考え方を紹介するものであり、効果を保証するものではありません。

主な治療アプローチ

  • 薬物療法:抗精神病薬が用いられ、幻覚や妄想などの急性の精神病症状の緩和を図ることが一般的とされる。不安や不眠が強い場合には、補助的に抗不安薬や睡眠薬が併用されることもある
  • 入院治療:症状が重い場合、自傷・他害のおそれがある場合、あるいは自宅での安全な療養が難しい場合には、安全確保と集中的な治療を目的として入院が検討されることがある
  • 休養と環境調整:ストレス要因から一時的に距離を置き、心身を十分に休められる環境を整えることが重視される
  • 心理教育:本人・家族が疾患について正しく理解を深め、再発の兆候の見分け方や、症状が現れた際の対応方法を学ぶ
  • 精神療法・カウンセリング:急性期を脱した回復期以降、ストレス対処法(コーピング)の獲得や、体験した症状への心理的な整理・サポートを目的として行われることがある
  • 経過観察・通院の継続:症状が改善したあとも、一定期間は再発の有無を確認するための定期的な通院が推奨されることが多い
  • 家族への支援:家族自身の不安や負担も大きいため、家族向けの心理教育や相談支援が組み合わされることもある

治療期間の目安

  • 短期精神病性障害は定義上1か月未満で症状が消失するとされるが、これは「治療がその時点で完全に終了する」ことを意味するわけではない
  • 再発予防や生活リズムの立て直し、社会復帰への準備のため、症状消失後もしばらくの間、通院や服薬管理を継続するケースがある
  • 個人差が大きいため、治療の見通しについては主治医とよく相談しながら進めることが重要

家族・周囲の対応で気をつけたいこと

急な症状の出現に、家族や周囲の人も強い戸惑いや不安を抱えることが少なくありません。以下のポイントを参考にしてください。

  • 本人が訴える内容(妄想・幻覚)を頭ごなしに否定したり、強く言い聞かせようとしたりせず、まずは本人が感じている不安や苦痛そのものを受け止める姿勢を持つ
  • 安全確保を最優先とし、自傷・他害の可能性を感じさせる危険な言動が見られる場合は、様子を見るのではなく速やかに医療機関や専門の相談窓口に連絡する
  • 本人が受診を拒む場合でも、家族だけで抱え込まず、まずは精神科医療機関や地域の精神保健福祉センターなどの相談窓口に相談してみる
  • 説得や議論よりも、安心できる環境と落ち着いた対応を心がけ、本人を急かしたり刺激したりしないよう配慮する
  • 回復後も、しばらくは生活リズムの乱れや服薬状況、心身の変化を見守るサポートが望まれる
  • 家族自身も強いストレスを抱えやすいため、一人で抱え込まず、必要に応じて家族向けの相談支援やサポートグループなどを利用することも検討する
  • 職場や学校など、社会生活への復帰についても、主治医と相談しながら段階的に進めることが望ましい

短期精神病性障害の受診の目安

以下のような状態が見られる場合は、様子を見すぎず、早めに精神科・心療内科への相談を検討することが推奨されます。

  • 「監視されている」「盗聴・盗撮されている」など、現実的には考えにくい確信を強く、繰り返し訴えている
  • 実際には聞こえないはずの声や、見えないはずのものについて、本人が真剣に話している
  • 会話の内容が急にまとまりを失い、質問への受け答えがかみ合わず、意思疎通が難しくなっている
  • 普段とは明らかに異なる行動(意味不明な行動の繰り返し、極端な興奮状態、あるいは逆に極端な無反応)が見られる
  • 自分自身や他人を傷つける可能性を感じさせる言動、あるいはそれをほのめかす発言がある
  • 出産後の時期に、上記のような急激で著しい精神状態の変化が見られる
  • 大きなストレスやショックな出来事のあと、数日のうちに人格が変わったかのような変化が生じている

緊急性が高いと考えられるケース

以下のような状況では、通常の外来受診の予約を待つのではなく、緊急の対応が必要です。

  • 自傷・自殺をほのめかす発言、または具体的な行動が見られる
  • 他者に対して危害を加える可能性を感じさせる言動がある
  • 本人の安全が確保できない状況にある(一人にできない、目を離せないなど)

このような場合は、速やかに医療機関の救急外来や、地域の精神科救急情報センターなど、緊急の相談窓口へ連絡することが重要です。判断に迷う場合も、まずは専門の窓口に相談することをためらわないようにしてください。

短期精神病性障害に関するよくある質問

Q1. 短期精神病性障害は自然に治りますか?

定義上、多くの場合は1か月未満で症状が消失し、病前の機能水準まで回復するとされています。ただし、これは「治療を必要としない」という意味ではありません。適切な医療的介入を受けることで、より安全に、また早期の回復が期待できると考えられています。自己判断で経過を見るのではなく、早い段階で専門医への相談を検討することが推奨されます。

Q2. 統合失調症に移行することはありますか?

短期精神病性障害と診断された後、症状が長引いたり、再発を繰り返したりする場合には、統合失調症様障害や統合失調症など、別の診断へと見直されることがあります。すべてのケースが統合失調症に移行するわけではありませんが、経過を丁寧に観察していくことが重要とされています。

Q3. 再発する可能性はありますか?

再発の有無や頻度には個人差があります。以前と同様の強いストレスが再び引き金となるケースもあるとされており、再発予防の観点から、症状消失後も一定期間の通院や、生活面(睡眠、ストレス管理など)での配慮が推奨されることがあります。

Q4. 産後に発症するタイプは何が違うのですか?

出産後の一定期間内に発症する精神病症状は「産褥期精神病(産後精神病)」と呼ばれ、短期精神病性障害の一形態として位置づけられることがあります。母親自身の安全に加え、育児や赤ちゃんの安全にも関わるため、産後に急激な精神状態の変化が見られた場合は、産科・精神科の双方と連携した早期の医療相談が特に重要とされています。

Q5. 家族にできることは何ですか?

本人の訴えを頭ごなしに否定せず受け止めること、安全確保を最優先すること、家族だけで抱え込まず専門機関に相談することなどが挙げられます。また、家族自身の心理的負担も大きいため、家族向けの相談窓口やサポートグループを利用することも一つの選択肢です。

Q6. どの診療科を受診すればよいですか?

精神科、または心療内科が主な受診先となります。かかりつけ医がいる場合には、まずそちらに相談し、適切な専門医療機関を紹介してもらう方法もあります。緊急性が高いと感じる場合には、ためらわずに救急外来や、地域の精神科救急窓口への連絡を検討してください。

Q7. 仕事や学校にはいつから戻れますか?

回復のスピードには個人差が大きく、一律の目安を示すことは難しい状態です。焦って早期に復帰しようとすると再発のリスクを高める可能性もあるため、主治医と相談しながら、生活リズムや心身の状態を見つつ段階的に復帰時期を検討することが望ましいとされています。

Q8. 本人に病識がない場合、どう受診につなげればよいですか?

本人が「自分は病気ではない」と感じている場合、説得だけでは受診につながりにくいことがあります。まずは家族だけで抱え込まず、精神科医療機関や地域の精神保健福祉センターなどに相談し、対応方法について専門的な助言を受けることが有効な場合があります。緊急性が高い場合の対応窓口についても、あわせて確認しておくと安心です。

Q9. 短期精神病性障害はどのくらいの頻度で見られるものですか?

発症頻度は、統合失調症など他の精神病性障害と比べると、一般的にまれとされています。年齢層としては、成人期の比較的早い時期に発症するケースが多いと報告されていますが、性別や年代を問わず発症しうる疾患です。産後という特定の時期に発症するケースも一定数報告されています。正確な発症率は調査によって幅があるため、あくまで目安として捉えてください。

Q10. 薬を飲み始めるとすぐに症状は治まりますか?

薬物療法によって症状の緩和が期待できるとされていますが、効果の現れ方には個人差があり、数日から数週間かけて徐々に落ち着いていくことが一般的です。自己判断で服薬を中止したり量を調整したりすると、症状の悪化や再燃につながるおそれがあるため、必ず主治医の指示に従って服薬を継続することが重要です。

Q11. 本人が入院を拒否する場合はどうすればよいですか?

本人の同意が得られない場合でも、症状が重く自傷・他害のおそれが強いと判断されるケースでは、法律に基づいた入院形態が検討されることがあります。こうした判断は専門医療機関が行うものであり、家族だけで抱え込まず、早めに精神科医療機関や地域の相談窓口に状況を伝え、適切な手続きについて相談することが望まれます。

受診先・医療機関選びのポイント

初めて精神科を受診する場合、どの医療機関を選べばよいか迷うことも少なくありません。以下の点を参考にしてください。

  • 急性期対応が可能かどうか:症状が急激に出現している場合は、入院設備を持つ精神科病院や、精神科救急に対応している医療機関が選択肢となる
  • 産後発症が疑われる場合:産科と連携している、または周産期メンタルヘルスに詳しい医療機関を選ぶと、母子双方への配慮がなされやすい
  • アクセスのしやすさ:急を要する状況では、自宅や職場から通いやすい距離にあることも重要な判断材料となる
  • かかりつけ医からの紹介:どこに相談すればよいか分からない場合は、かかりつけの内科医などに相談し、適切な医療機関を紹介してもらう方法もある
  • 地域の相談窓口の活用:各自治体の精神保健福祉センターや保健所では、医療機関の情報提供や、受診に関する相談を受け付けていることが多い

判断に迷う場合や、緊急性が高いと感じる場合には、遠慮せずに医療機関や相談窓口に問い合わせることが、早期の適切な対応につながります。

まとめ

短期精神病性障害は、妄想や幻覚などの精神病症状が急激に現れ、比較的短期間のうちに回復に向かうとされる疾患です。一方で、発症直後の段階では統合失調症様障害や統合失調症など他の疾患との区別が難しく、専門医による丁寧な評価と、一定期間の経過観察が欠かせません。本人や家族だけで判断せず、気になる症状が見られた場合には、早めに精神科・心療内科へ相談することが、安全で確実な回復への第一歩となります。特に自傷・他害のおそれがある場合や、出産後の急激な変化が見られる場合には、様子を見るのではなく、速やかに医療機関や緊急の相談窓口に連絡することが重要です。

本人や家族が強い生きづらさを感じている場合は、一人で抱え込まず、早めに相談ください。

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