診療内容

Services

一人ひとりの心のお悩みに、
専門的なサポートでお応えします。

こんなお悩みはありませんか?

  • 仕事やプライベートで不注意によるミスが無くならない
  • 締め切りや約束の時間を守るのが難しい
  • 片付けや整理整頓ができず、部屋やデスクが散らかる
  • 相手の話を最後まで聞けず、衝動的に発言や行動をしてしまう
  • やるべきことに集中できない、または過集中で心身が疲弊してしまう

成人の発達障害(ADHD / ASD)とは?

これらの悩みに一つでも心当たりがある方は、成人の発達障害(ADHD・ASD)の特性が背景にある可能性があります。「自分の努力が足りないだけだ」「性格の問題だ」と長年思い込み、一人で対処法を模索しながら苦しんでいる方も少なくありません。まずはご自身の特性を正しく知ることから始めてみましょう。

【ADHD(注意欠如・多動症)傾向のある方】

  • ケアレスミスや忘れ物・落とし物が頻繁にある
  • 時間管理が苦手で、遅刻したり締め切りに間に合わなかったりする
  • 片付けや整理整頓ができず、部屋やデスクが散らかってしまう
  • 計画的に物事を進めるのが苦手で、後回しにしてしまう
  • 一言余計なことを言ってしまう
  • 順番を待つのが苦手

【ASD(自閉スペクトラム症)傾向のある方】

  • 人の気持ちを推し量るのが苦手で、人間関係でトラブルになりやすい
  • 空気が読めないと言われたり、冗談やたとえ話を真に受けてしまったりする
  • 急な予定変更や環境の変化に強くストレスを感じる・パニックになる
  • 自分のこだわりや独自のルールがあり、譲ることが難しい
  • 音や光、匂い、肌触りなどの感覚過敏がある

これらの特性は、一つだけが単独で現れることもあれば、複数が重なり合って現れることもあります。また、置かれている環境(仕事内容、職場の人間関係、家庭の状況など)によって、困りごとの強さは大きく変動します。同じ人であっても、特性に合った環境では困りごとが目立たず、逆に特性に合わない環境では強いストレスとなって現れることがあるのです。

ADHDとASD、それぞれの特性の詳しい特徴

ADHDとASDは、いずれも「発達障害(神経発達症)」に分類されますが、脳の働き方の傾向や現れやすい困りごとには違いがあります。ここでは、それぞれの特性についてもう少し詳しく見ていきます。

ADHD(注意欠如・多動症)の主な特徴

ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性を軸とする発達障害です。大人になると多動性は目立ちにくくなる一方、不注意や衝動性による困りごとが仕事や家庭生活の中で顕著になる傾向があります。

  • 不注意優位のタイプ:一つの作業に集中し続けることが難しく、気が散りやすい。書類の確認漏れ、メールの返信忘れ、持ち物の忘れ物などが多くなる
  • 多動・衝動優位のタイプ:じっとしているのが苦手、思いついたことをすぐに発言・行動に移してしまう、貧乏ゆすりなど落ち着きのなさが見られる
  • 混合タイプ:不注意と多動・衝動性の両方の特性が見られる

大人のADHDでは、複数のタスクを同時に抱えると優先順位がつけられなくなる、締め切り直前まで着手できない、逆に興味のあることには過度に没頭してしまう(過集中)といった特徴もよく見られます。

ASD(自閉スペクトラム症)の主な特徴

ASDは、「対人コミュニケーションの困難」と「限定的・反復的な行動やこだわり」を主な特性とする発達障害です。「スペクトラム(連続体)」という名前の通り、特性の強さや現れ方には大きな個人差があります。

  • 対人コミュニケーションの特性:相手の表情や声のトーンから感情を読み取ることが苦手、冗談や皮肉、比喩表現を字義通りに受け取ってしまう、雑談が苦手
  • こだわりの強さ:決まった手順やルールへのこだわりが強く、予定外の変更に強い抵抗を感じる、興味関心の対象が限定的で深く没頭する
  • 感覚の特性:特定の音や光、匂い、触感などに対して過敏、あるいは鈍麻な反応を示す

ASDの特性を持つ方の中には、周囲に合わせようと無理をして「普通に見えるように」振る舞う「カモフラージュ(擬態)」を続けている方もいます。カモフラージュは一時的には周囲との摩擦を減らしますが、本人にとっては大きな心理的負担となり、慢性的な疲労感や燃え尽き(バーンアウト)につながることがあります。

二つを比較して見えてくること

項目 ADHD(注意欠如・多動症) ASD(自閉スペクトラム症)
主な特性 不注意・多動性・衝動性 対人コミュニケーションの困難、こだわりの強さ
起こりやすいミス 忘れ物、時間管理の失敗、うっかりミス 暗黙のルールの読み違い、予定変更への対応困難
対人面の傾向 話を最後まで聞けない、割り込んでしまう 相手の意図や感情を推測しにくい
感覚面 刺激を求めやすい、飽きやすい 音・光・匂いなどへの過敏さ・鈍麻さ
得意な傾向 発想の転換、瞬発力、行動力 高い集中力、規則性への強さ、細部への注意力

ただし、ADHDとASDは明確に分かれるものではなく、両方の特性を併せ持つ方も少なくありません。実際の臨床現場では、ADHDとASDが併存しているケースも多く報告されています。また、特性の強さや現れ方は一人ひとり異なり、同じ診断名であっても困りごとの内容は大きく異なります。そのため、チェックリストだけで自己判断せず、専門的な評価を受けることが大切です。

成人の発達障害って?

大人になって、社会生活の要求が高まったこと、環境や求められる役割が変わることで、困りごとが表面化し、「生きづらさ」や「仕事上の困難」を感じて気づくことから、そう呼ばれます。放置すると二次障害としてうつ病や適応障害、強い不安症状を引き起こすこともあるため、まずはご自身の特性を正しく把握することが重要です。

成人の発達障害(ADHD・ASDなど)は、「性格のせい」や「努力不足・甘え」ではありません。生まれつきの脳機能のバランスや情報の処理の仕方に特性(違い)があることによって生じるものです。

なぜ「大人になってから」気づくケースが増えているのか

発達障害そのものは生まれつきの特性であり、大人になってから新たに発症するものではありません。しかし、子どもの頃は目立たなかった特性が、大人になって次のような理由で表面化しやすくなります。

1. 求められる役割が複雑化する

学生時代は決められた時間割や周囲のサポートの中で過ごせていたことが、社会人になると自分でスケジュールを管理し、優先順位をつけ、複数の業務を並行して進める必要が出てきます。この「自己管理」の負荷が増すことで、不注意や計画性の乏しさが顕在化しやすくなります。特に、転職や昇進、異動などで役割や責任が変化するタイミングは、これまで隠れていた特性が表面化しやすい時期といえます。

2. 対人関係の複雑さが増す

職場の人間関係、取引先とのやり取り、暗黙の了解(いわゆる「空気を読む」こと)が求められる場面が増え、対人コミュニケーションの特性が「困りごと」として自覚されやすくなります。学生時代は気の合う友人とだけ関わることも可能でしたが、社会人になると価値観の異なる多様な人々と協働する必要が生じ、これまで表面化していなかった対人面の困難が浮き彫りになります。

3. 周囲の理解やサポートが得にくくなる

学校では担任や保護者のサポートがありましたが、社会に出ると「大人なのだから当然できるはず」という前提で見られがちで、特性による困難が本人の努力不足と誤解されやすくなります。周囲からの叱責や評価の低下が続くことで、自己肯定感が低下し、さらに困難を強く感じるという悪循環に陥ることもあります。

4. 女性は特に見過ごされやすい傾向がある

女性のADHD・ASDは、多動性よりも不注意優位型や、周囲に合わせようと無理をする「カモフラージュ(擬態)」の傾向が強く出ることがあり、子どもの頃に気づかれにくいまま大人になるケースが多いといわれています。結婚や出産、育児、キャリアの転換期など、ライフイベントによる環境変化をきっかけに、これまで何とかカバーしてきた特性が顕在化し、受診に至るケースも見られます。

5. 情報へのアクセスが容易になった

近年、SNSやメディアを通じて成人の発達障害に関する情報が広く知られるようになったことも、受診が増えている背景の一つです。「これは自分に当てはまるのではないか」と気づくきっかけが増え、これまで見過ごされてきた特性に光が当たるようになりました。

このような背景から、近年は「大人の発達障害」として医療機関を受診する方が増えています。

放置するとどうなる? 二次障害のリスク

発達障害の特性そのものは病気ではありませんが、特性による困難が長期間にわたって理解・サポートされないまま続くと、次のような「二次障害」を引き起こすことがあります。

  • うつ病:失敗体験の積み重ねによる自己肯定感の低下、慢性的な疲労感、意欲の低下
  • 適応障害:職場や家庭でのストレスに適応できず、強い不安や不眠、体調不良が生じる
  • 強い不安症状・パニック症状:先の見通しが立たないことへの過剰な不安、対人場面での緊張
  • 依存症傾向:ストレス対処のためにアルコールや過食、ゲーム、買い物などに依存しやすくなる場合がある
  • 休職・離職の繰り返し:職場での失敗や対人トラブルが続き、就労が不安定になる
  • 慢性的な自己否定感:「自分はダメな人間だ」という感覚が積み重なり、自己肯定感が著しく低下する

これらの二次障害は、発達障害そのものよりも自覚しやすく、実際に「うつ症状」や「不眠」を主訴に受診した結果、背景にADHDやASDの特性が見つかるケースも少なくありません。つまり、二次障害の治療だけを行っても根本的な困りごとが解消されず、症状を繰り返してしまうことがあるのです。

二次障害が重症化する前に、早めに自身の特性を把握し、適切な対処法を身につけることが、生きづらさの軽減につながります。特性への理解が深まることで、「なぜ自分だけがうまくいかないのか」という長年の疑問が解消され、自己否定的な思考のループから抜け出しやすくなるという心理的な効果も期待できます。

セルフチェックの限界と受診の重要性

インターネット上には発達障害のセルフチェックリストが数多く存在し、自分の傾向を把握する入り口としては有用です。しかし、セルフチェックだけでは以下のような限界があります。

  • チェックリストの項目に当てはまっても、必ずしも発達障害の診断基準を満たすとは限らない
  • うつ病や不安症、双極性障害など、他の精神疾患でも似た症状が現れることがあり、自己判断では区別が難しい
  • 特性の程度や日常生活への影響度は、問診や心理検査を通じて専門的に評価する必要がある
  • 発達障害と診断されなくても、困りごとに対する具体的な対処法や環境調整のアドバイスを受けられる
  • インターネット上の情報は玉石混交で、誤った自己診断により不必要な不安を抱えてしまうこともある

また、セルフチェックの結果によって「自分は発達障害に違いない」と思い込みすぎることや、逆に「自分は大丈夫」と過小評価してしまうことも、正しい理解を妨げる要因となります。セルフチェックはあくまで気づきのきっかけとして活用し、実際の評価は専門家に委ねることが望ましいといえます。

「もしかしたら」と感じた時点で、一人で抱え込まず、専門の医療機関に相談することが、状況を正しく理解し、次の一歩を踏み出すための近道になります。

医療機関での診断の流れ

成人の発達障害の診断は、一般的に以下のようなステップで行われます。

1. 問診・生育歴の確認

現在の困りごとに加え、子どもの頃の様子(通知表のコメント、学校生活での様子など)や家族からの情報も参考にしながら、特性がいつ頃から見られていたかを確認します。発達障害の診断基準では「特性が発達早期から存在していること」が重要な要素となるため、可能であれば母子手帳や通知表など、子どもの頃の記録を持参するとスムーズです。

2. 心理検査

知能検査(WAIS-Ⅳなど)や発達特性に関する質問紙検査(AQ、CAARSなど)を実施し、認知特性の偏りや行動傾向を客観的に把握します。検査結果は、単に「発達障害かどうか」を判定するだけでなく、その方の得意・不得意のパターンを理解し、今後の対処法を考える上でも重要な資料となります。

3. 鑑別診断

うつ病、不安症、双極性障害など、症状が似ている他の疾患との鑑別を行います。発達障害と他の精神疾患が併存しているケースも珍しくなく、どちらの要因がどの程度困りごとに影響しているかを丁寧に見極める必要があります。

4. 総合的な評価と診断

問診・心理検査・鑑別診断の結果を総合し、医師が診断を行います。診断名がつくかどうかにかかわらず、特性への理解と対処法の提案が行われます。診断がつかない「グレーゾーン」であっても、困りごとに対する具体的なアドバイスを受けることには大きな意味があります。

医療機関によって検査内容や実施回数、初診までの待機期間は異なるため、受診前に確認しておくと安心です。

治療・サポートの選択肢

成人の発達障害に対する治療・サポートは、特性を「治す」というより、特性とうまく付き合いながら生活の質を高めることを目的とします。主な選択肢は以下の通りです。

薬物療法

ADHDに対しては、不注意や衝動性を軽減する薬物療法(中枢神経刺激薬、非中枢神経刺激薬など)が用いられることがあります。薬物療法は特性そのものを消し去るものではなく、困りごとを軽減し、日常生活や仕事における対処をしやすくすることを目的として検討されます。ASDそのものに対する薬物療法は限定的ですが、併存する不安やうつ症状、不眠に対して薬物療法が検討される場合があります。

精神療法・カウンセリング

認知行動療法などを通じて、特性による困りごとへの具体的な対処スキルを身につけていきます。自己理解を深め、失敗体験による自己肯定感の低下を防ぐことも重要な目的の一つです。カウンセリングでは、これまでの生きづらさの背景を整理し、自分に合った対処法を一緒に見つけていくプロセスが重視されます。

環境調整

職場や家庭での環境を、特性に合わせて調整することも効果的です。例えば、タスクの可視化、リマインダーの活用、静かな作業スペースの確保など、具体的な工夫によって困りごとを軽減できる場合があります。以下のような工夫が具体例として挙げられます。

  • スケジュール管理アプリやタイマーを活用し、時間の感覚を可視化する
  • タスクを細分化し、一つずつ完了できるチェックリストを作成する
  • 集中しやすい時間帯や環境を把握し、重要な作業をその時間に配置する
  • 感覚過敏がある場合は、耳栓やノイズキャンセリングイヤホンなどで刺激を軽減する
  • 職場に特性を伝え、業務の指示方法や確認方法について配慮を依頼する

就労支援・社会資源の活用

必要に応じて、就労移行支援や障害者雇用制度、自立支援医療などの社会資源を活用することも選択肢の一つです。医師や医療機関のスタッフに相談しながら、自分に合ったサポート体制を整えていくことができます。診断書の発行や、職場への合理的配慮の依頼にあたっても、医療機関との連携が重要になります。

ADHD・ASDと併存しやすい他の特性・状態

発達障害の特性は、単独で現れるだけでなく、他の特性や心身の状態と重なり合って現れることがあります。ここでは、比較的よく見られる併存の例を紹介します。

学習障害(LD)との併存

読み書きや計算など、特定の学習領域に困難がある学習障害(限局性学習症)は、ADHDやASDと併存することがあります。仕事において、書類作成や数値管理に特有の苦手さを感じる場合、背景に学習障害の特性が関わっている可能性もあります。

不安症・うつ病との併存

前述の通り、発達障害の特性による生きづらさが長期化すると、不安症やうつ病を併発しやすくなります。逆に、もともと不安傾向が強い方が、ADHDやASDの特性によってさらに不安が強まるという相互作用も見られます。

睡眠の問題

ADHD・ASDのいずれの特性を持つ方も、入眠困難や睡眠リズムの乱れを抱えやすい傾向があります。夜間に過集中してしまい就寝時間が遅くなる、感覚過敏により寝つきにくいなど、特性に関連した睡眠の問題が生活の質に影響を及ぼすことがあります。

感覚処理の特性

ASDに限らず、ADHDの特性を持つ方の中にも、特定の感覚刺激に対する過敏さや鈍麻さが見られることがあります。職場の照明や音、衣類の肌触りなど、日常のさまざまな刺激がストレス要因となっている場合、感覚特性への配慮も対処法の一つとして検討されます。

これらの併存する特性や状態を把握することは、より適切な治療方針やサポート方法を検討する上で欠かせない要素です。医療機関では、主たる困りごとだけでなく、こうした併存の可能性についても丁寧に評価を行います。

家族やパートナーができるサポート

成人の発達障害は、本人だけでなく、家族やパートナーの理解と協力が生活の質を大きく左右します。身近な人ができるサポートには、次のようなものがあります。

  • 特性を「性格」ではなく「特性」として理解する:忘れ物やミスが続く場合も、本人の意志の弱さではなく、脳の特性によるものであるという理解を持つことが第一歩です
  • 具体的で明確な伝え方を心がける:曖昧な指示(「あとでやっておいて」など)よりも、「何を」「いつまでに」「どのように」行うかを具体的に伝えることで、行き違いを減らせます
  • 本人の得意な部分にも目を向ける:苦手な部分だけでなく、発想力や行動力、集中力の高さなど、特性に伴う強みを認めることも大切です
  • 一緒に対処法を考える姿勢を持つ:「なぜできないのか」を責めるのではなく、「どうすればやりやすくなるか」を一緒に考える姿勢が、本人の安心感につながります
  • 必要に応じて医療機関への相談を勧める:本人が一人で抱え込んでいる場合、家族から専門機関への相談を提案することも、状況を前に進めるきっかけになります

ただし、家族やパートナーが過度に本人の管理を引き受けすぎると、共依存的な関係になってしまうこともあります。適切な距離感を保ちながら、専門家のサポートも取り入れていくことが望ましいといえます。

職場での合理的配慮の具体例

発達障害の診断を受けた場合、あるいは診断がなくても特性による困難がある場合、職場に対して合理的配慮を求めることができます。実際にどのような配慮が考えられるか、具体例を挙げます。

  • 業務指示を口頭だけでなく、文書やチャットなど記録に残る形でも伝えてもらう
  • 複数のタスクを同時に依頼せず、優先順位を明確にしてもらう
  • 静かな環境で作業できるよう、座席や作業スペースを配慮してもらう
  • 急な予定変更がある場合は、できるだけ早めに共有してもらう
  • 定期的な1on1ミーティングで、業務の進捗や困りごとを確認する機会を設けてもらう

こうした配慮は、企業の規模や業種によって実現可能な範囲が異なります。まずは主治医に相談し、必要な配慮の内容を診断書や意見書としてまとめてもらった上で、人事担当者や上司と話し合うという流れが一般的です。

受診を迷っている方へ

「病院に行くほどのことなのか分からない」「診断がついたらどうなるのか不安」といった理由で、受診をためらう方は少なくありません。しかし、受診したからといって必ずしも診断がつくわけではなく、また診断がついたとしても、それによって生活が大きく制限されるわけではありません。

受診の目的は、あくまで「自分自身の特性を正しく理解し、より生きやすくなるための手がかりを得ること」にあります。次のような状態が続いている場合は、一つの目安として受診を検討してみてください。

  • 仕事や日常生活でのミスや困りごとが、自分なりの工夫では改善しない
  • 周囲からの評価や叱責が続き、自己肯定感が著しく低下している
  • 気分の落ち込みや強い不安、不眠などの症状が続いている
  • 対人関係のトラブルが繰り返し起こり、原因が分からず悩んでいる

これらに当てはまる場合は、一人で抱え込まず、早めに専門家に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 発達障害は治りますか?
発達障害は生まれつきの脳の特性であり、「完治」するという性質のものではありません。しかし、特性を正しく理解し、環境調整や治療的サポートを取り入れることで、日常生活や仕事での困りごとを大きく軽減することは可能です。
Q. 診断がつかなかった場合、意味がなかったということになりますか?
そのようなことはありません。診断基準を満たさない「グレーゾーン」であっても、検査や問診を通じて自分の特性の傾向を把握できることには大きな意味があります。困りごとに応じた具体的な対処法を専門家と一緒に考えることができます。
Q. 会社に特性を伝える必要はありますか?
必ずしも伝える必要はありません。ただし、業務上の配慮が必要な場合は、主治医と相談しながら、どの範囲まで、どのように伝えるかを検討することをおすすめします。
Q. 子どもの頃に診断されていなくても、大人になってから診断されることはありますか?
はい、あります。子どもの頃は特性が目立たなかった、あるいは周囲のサポートでカバーできていたために気づかれなかったケースは多く見られます。大人になってから初めて診断を受ける方は珍しくありません。
Q. パートナーや家族が発達障害かもしれないと感じた場合、どうすればよいですか?
本人が困りごとを自覚していない場合、周囲から一方的に受診を勧めても、かえって反発を招くことがあります。「最近こういう場面で困っていることはない?」など、本人の困りごとに寄り添う形で対話のきっかけを作り、本人が納得した上で受診につなげることが望ましいといえます。
Q. 検査や診断にはどのくらいの費用がかかりますか?
心理検査の種類や実施回数、保険適用の有無によって費用は異なります。事前に医療機関へ確認しておくと安心です。
Q. 診断がついた場合、就労にどのような影響がありますか?
診断がついたからといって、必ずしも働き方が制限されるわけではありません。一般雇用のまま特性に配慮した働き方を模索する方法もあれば、障害者雇用制度を活用する方法もあります。ご自身の状況や希望に応じて、主治医や支援機関と相談しながら選択していくことができます。

受診前に準備しておくと良いこと

初めて医療機関を受診する際、事前に準備しておくとスムーズに進められる情報があります。以下を参考に、可能な範囲でまとめておくと良いでしょう。

  • 現在困っていることの具体例:いつ、どのような場面で、どのような困りごとが起きているかを、できるだけ具体的にメモしておく
  • 子どもの頃の様子が分かる資料:母子手帳、通知表、作文など、当時の様子を客観的に振り返れる資料
  • これまでの病歴:過去に受診した医療機関や診断名、服薬歴があれば整理しておく
  • 家族からの情報:可能であれば、家族から見た子どもの頃の様子や現在の困りごとについての情報
  • 職場や学校での評価:業務上の指摘を受けた内容や、評価面談で言われたことなど

これらすべてを完璧に準備する必要はありません。分かる範囲で構いませんので、思い出せることをメモにまとめておくだけでも、問診がスムーズに進みます。

特性を「弱み」だけでなく「強み」として捉える視点

発達障害の特性は、困りごとの側面ばかりが注目されがちですが、同じ特性が状況によっては強みとして発揮されることもあります。

  • ADHDの特性を持つ方:発想の転換が早い、行動力がある、新しいアイデアを次々と生み出せる、興味のある分野への集中力が非常に高い
  • ASDの特性を持つ方:細部への注意力が高い、規則性やルールに忠実、専門分野への深い知識と探求心、正直で誠実な対人姿勢

こうした強みは、特性に合った環境や役割の中でこそ発揮されやすくなります。治療やサポートの目的は、単に「苦手を減らす」ことだけでなく、「得意を活かせる環境を見つける」ことでもあります。自分の特性を正しく理解することは、弱みへの対処法を知るだけでなく、自分自身の強みを再発見する機会にもなり得るのです。

発達障害と間違えられやすい状態との違い

発達障害の特性に似た症状が、他の要因によって一時的に現れることもあります。正しい理解のために、代表的な例を紹介します。

強いストレスによる一時的な不注意・混乱

過重労働や環境の急激な変化など、強いストレスにさらされている状態では、誰でも一時的に注意力が散漫になったり、物事を計画的に進められなくなったりすることがあります。こうした状態は、ストレス要因が解消されれば改善することが多く、生まれつきの発達特性とは区別されます。ただし、ストレス性の不調と発達障害の特性が併存している場合もあり、この見極めには専門的な評価が必要です。

睡眠不足や生活リズムの乱れによる影響

慢性的な睡眠不足は、集中力の低下やケアレスミスの増加、感情のコントロールの難しさなど、ADHDの特性と似た症状を引き起こすことがあります。まずは生活リズムを整えることで症状が改善するかどうかも、鑑別の重要な手がかりとなります。

うつ病による認知機能の低下

うつ病の症状の一つに、思考力や集中力の低下(いわゆる「頭が働かない」状態)があります。この症状は、ADHDの不注意症状と表面的には似ていますが、発症の経過や他の症状(気分の落ち込み、意欲の低下など)を丁寧に確認することで区別されます。

これらのように、発達障害と似た症状を示す状態は複数存在するため、自己判断で「発達障害に違いない」と決めつけるのではなく、専門家による丁寧な問診と評価を受けることが、正確な理解への近道となります。

まとめ:特性の理解が、生きやすさへの第一歩

成人の発達障害(ADHD・ASD)は、性格や努力の問題ではなく、生まれつきの脳の特性によるものです。大人になってから環境の変化をきっかけに困りごとが表面化し、初めて自身の特性に気づく方が増えています。

放置すると、うつ病や適応障害といった二次障害を引き起こすリスクがある一方で、特性を正しく理解し、環境調整や治療的サポートを取り入れることで、生活の質を大きく改善できる可能性があります。セルフチェックだけで判断せず、専門的な問診や心理検査を通じて、自分自身の特性を丁寧に把握することが、生きやすさへの確かな第一歩となります。

一人で抱え込まず、まずはご相談ください

「性格の問題」と自分を責め続けてきた方にとって、発達障害の特性を知ることは、これまでの生きづらさの理由を理解し、次の一歩を踏み出すきっかけになります。診断がつくかどうかにかかわらず、専門的な視点から自身の特性を把握することには大きな意味があります。

仕事や日常生活での困りごとが続いている方、「もしかして」と感じている方は、一人で抱え込まず、まずは専門の医療機関にご相談ください。

ひとりで悩まず、まずはご相談ください。

ご相談はいつでもOK。あなたのペースでお越しください。

発熱外来希望の方の相談も承っております。

OK
WEB予約 LINE予約